自分の感情を知ることの大切さ

前の記事、“感情的 vs. 論理的”で、感情を論理で説明することがいかに不合理なことであるかと、感情を肯定することが大切であると書きました。

簡単に「感情を肯定する」と言っても、自分がどのような感情を持っているかがわからないという方も多いのではないでしょうか?

無理に、自分の感情を理解する必要はありません。

感情の性質について知ることで、自分の感情とよりうまく付き合っていけるのではないでしょうか?

感情の性質


  • 感情は、勝手にこみあげてくる。
  • 感情的反応は、瞬発的に起こるので、冷静に論理的に考えている暇を与えない。
  • 感情は、簡単に言葉で説明できる性質を持たない。
  • 感情は、非線形で多面的性質を持つので、単純に感情が起こる原因を特定できない。
  • 論理的に話す時、感情は、抑えられるか、気づかれないものとして無視されることが多い。
  • 感情の複雑かつ多面的性質を、単純な線形思考で論理的に説明し理解しようとする時、その感情が含む多くの要素を見落とすことになる。
  • 気づいていない、または、あえて無視している感情もあり、苛立ちや、体調不良と言う形で現れる。
  • お互いを否定しない話し合いや、カウンセリングにより、これらの感情に気づく機会を得ることができる。
  • 言葉では表現、処理できない感情は、スキンシップや愛によって癒されることができる。
  • 反射的に同じ類の感情が繰り返し起こる場合、過去の体験で得た感情が身に染みていていて、それが癖になっているケースが多い。
  • 感情は、エネルギー、すなわち、波動であり、電気的性質を持つ。

* 線形と非線形の概念については以前の記事“線形思考と非線形思考”をご参照ください。

感情の反射的性質と常習性


感情の反射的性質と常習性については、脳科学の分野で説明されています。

脳科学者であり薬理学者であったDr. Candace Pertは、感情は体内の多様なホルモン物質(ペプチド)の放出を起こし、細胞に受容されると言っています。

このホルモン物質は、細胞にとって薬物のように中毒性があるため、細胞が同様な感情を欲することにつながり、あなたは、反射的に同じような感情的状態を繰り返しもつことになります。

私たちが、ある事象に対して感情と思考を持つ度に、脳の神経細胞(ニューロン)の間をつなぐシナプスと呼ばれる構造を通して、瞬時に情報が電気信号として伝達し、反応するというメカニズムになっているそうです。

この細胞間の伝達も、一度起こるとプログラムされるそうで、結果として同じ感情的反応が繰り返されることになるということです。

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感情的を論理で説明しようとすのは不毛な努力


男女の喧嘩で、感情的になっている女性に、男性が「論理的におかしい」と言ったり、なぜ感情的になるのか理解できないというケースをよく耳にしますが、論理をもって対応しようとすることに、根本的な間違いがあるのです。

あなたが、相手との関係において、憤りや苛立ちを感じている時に、問題を論理的に理解しようと考えても考えても、解決策は出ません。

また、論理的に考えれば考えるほど、自分でも認識していないネガティブ感情を無視して、合理的に結論づけてしまう可能性が出てきます。

人の思考はパターン化していますから、考え付くことも限られています。

上述の、細胞間の情報伝達が示すように、あなたがものを捉え、感じ、それに対して、反応するパターンもあなたの中にプログラムされているのです。

今までの観念を手放して、違う見方をすることを自主的に選択すれば、パターン化したプログラムを変えることが可能になります。

しかし、観念を変えるには、今までの自己に対する執着と固執した考えを手放さなければなりません。

感情を知るには


憤りや苛立ちを覚える状況について、関連するかもしれないありとあらゆる、事柄と、それに対する感情をリストアップしてみるといいでしょう。

あまり、この苛立ちとは関係ないかなと思っても、ネガティブに感じたものはすべてリストしてみることをお勧めします。

そうすると、潜在的なリンクや、蓄積した不満などが浮き彫りになることがあります。

小さい事でも書き出すうちに、共通点が見られたりすることに気づきます。

特に夫婦間の問題においては、自分の憤りや苛立ちの裏にある感情は、単純に一つではなく、いろんなことの積み重ねだったりすることが多々あります。

その感情をうまく言い表せなくても、嫌だなと感じること、悲しく感じること、物足りなく感じることがあったらリストしてみましょう。

感情は、自分でも表現できないところが多く、仮に言葉で表現してみてもしっくりこないことがあります。

そんな時、感情表現の辞書や感情語の一覧などがインターネットにありますので、感情表現のボキャブラリーを増やすのがお勧めです。

自分が普段思いつかないような、感情表現の言葉がたくさんあるのに驚かされることでしょう。

自分の感情にしっくりくる表現が見つかるかもしれません。

とにかく、全て書き出してみて下さい。

この時、論理的思考とか道徳観念が邪魔しないようにしてください。

邪魔されると、抑制された“こうあるべき感情”となり、本来自分が根底に持つものとは変わってしまいます。

こんな感情もっていたら、恥ずかしいとか思っていたら、本当の感情を打ち消してしまいます。

論理的思考に浸食された頭は、感情を抑制しつづけるので、蓄積して後で病気になったりします。

書き出したものを読み返してみて、しっくりこなければ、それは本当の感情を表現しているものではないでしょう。

感情を肯定するには、全て書き出して認めることからです。

ネガティブな感情ばかり書き出したら、気分が憂鬱になると思うかもしれませんが、ネガティブな感情を認めることは、悩みから抜け出すステップとして理に適っているといえます。

ネガティブな感情の肯定について、詳しくは、“恋愛の現状への疑問とネガティブな感情の肯定”をご参照ください。