因果関係を解く論理的思考
論理的思考が出来ることは、社会で成功するためには大事なスキルと言われています。
ものごとが何故そうなるのか、論理的に説明しようとする思考パターンが大事というわけです。
論理的思考では、因果関係を特定することが要求されます。
実は、論理的思考を意識しなくても、私たちはものごとを理解し説明する時、常に因果関係を見出す作業を行っています。
「こうだから、ああなった」、「ああいう事象が起こることで、こういう事象が起こる」というように、理解する為にものごとに因果関係を見出すそうとする行為は、日常的なあたりまえのこととなっており、逆に意識することは無いのでしょうか?
誰かが何か事件を起こせば、「なるほど、それでああなったのね」とか、ある人物のことを語るときに、「あの人は過去にああいうことがあったから、今はこうなのでしょう」とか、挙げればきりがありませんが、私たちが日常の会話で常に因果関係を求めていることがおわかりいただけると思います。
これは、私たちが行動するうえで当然の習性ですね。
論理的思考では、常識的、かつ、科学的に人を納得させられるような、系列立てた因果関係を事象に対して当てはめることができる知識とテクニックが必要になります。
特別な人が論理的思考ができるということでなく、知識の成すところが大きいと言えます。
人に発信するには、テクニックも必要でしょうが、これも知識と実践で身に付きます。
論理的思考は線形思考
論理的思考は、社会のあらゆる事象を説明するのに有用で、特にビジネスにおいては物事を説明するのに必要かつ最も合理的な思考方法と捉えられています。
この論理的思考は、線形思考 (Linear Thinking) であると言えます。
線形の考え方は、起こっている事象の原因は一本の線の上にあり、直線的にAが、Bという原因によって、Cという結果になったいうものです。
線形の考え方ではその原因は、特定されているものとして捉えます。
だから、論理的かつ合理的、そして、効率的に問題を説明できるというわけです。
逆に、直線的に今起こっていることが、どのような結果をもたらすかの予測も可能です。
これと対照的に扱われるのが非線形思考 (Nonlinear Thinking) です。
非線形の考え方では、起こっていることの原因も論理的に特定できないし、これからの結果も予測できません。
物事は色々な側面があって複雑に絡みあっているので、一本線では表せないということから非線形と言われています。
非線形思考は、単純な因果関係を見出さない、多面性の自由な思考とでも言ったらいいでしょうか。
創造性は、非線形思考に属するものと見られています。
Source: creativity103.com
非線形はカオス
非線形はカオスとも表現されることがあります。
カオスとは無秩序とか、混沌とか言う意味ですが、必ずしも、収拾がつかない混乱状態を意味するものではありません。
カオスは、線形思考を持ってみると無秩序な混乱状態に見えるでしょう。
しかし、非線形思考においては、カオスそのものを、(論理的には理解できない)秩序があってなるべくしてなっている状態とみます。
私たちが、本能的に感じているのは、この世の全てのものは、非線形でカオス状態であるということだと思います。
人の感情など、世の中の多くのことは、論理立てて因果関係を特定しようとする線形の考え方では到底説明しきれません。
にも拘らず、私たち人間は、線形の考え方でものごとを説明するようにできているのです。
実は、私がこのように、書いている行為も線形なのです。非線形の理論を線形の方法で説明しようとしているということになります。
線形と非線形のバランス
私たち人間は、世の中の非線形の本質を本能的にはわかっていますが、それでも、論理的に線形であるとして理解しようとして、回答が出ないことに悩み苦しむのです。
もちろん、社会のシステムやルールは、線形で規定されており、常識として理解に苦しむことはありません。
今までの科学は線形の理論によって成り立ってきましたが、線形ではもはや説明できないことが多すぎて、非線形のコンセプトを当てはめて事象を説明しようと試みる科学も増えてきています。
非線形の思考というとき、考えるというよりも、直感的に取るとか、感じると言ったほうが近いような気がします。
因果関係を特定せずに、科学で説明できないことを認め、ものごとには無数の側面と可能性があると考え、突然現れたり消えたりする事象もあることを認め、全体をありのまま受け入れることが、非線形思考を身に着ける為のいくつかのコツではないかと思います。
しかし、こればかりだと、社会生活で機能できなくなるかも知れません。
思考は線形と非線形のバランスが重要だと言われています。
注:線形思考における因果関係と、カオスと非線形の関係の記述については、デービッド・R・ホーキンス博士の以下の文献の内容を参考にしています。
David R. Hawkins, M.D., Ph.D., Power vs. Force: The Hidden Determinants of Human Behavor, Hay House, Inc., 2002
邦訳:
パワーかフォースか―人間のレベルを測る科学
ホーキンズ,デヴィッド・R.【著】/ デラヴィ,エハン/愛知 ソニア【訳】
三五館