今回の記事は、他人の評価から解放されることが、結果として最適な人間関係を築くことにつながるしくみについてです。
他人に評価されることに自分の存在価値を見出す
昔から「人は自分の鏡である」とよく言うように、私たちは自分自身を人からの評価を基準に位置づけする癖がついています。
子供のころから、学校の成績で評価されて、人と比較されながら育ってきた私たちにとって、これは当然のことなのかもしれません。
社会で働くようになっても、資格や職種、そして、働く会社によって、人に認識されて判断されるようになり、自分でも自分という存在に価値を見出すために、そういうステイタス的なことに固執するようになります。
周りも、そういうことで人を判断するので、尚更、ステイタスが重要性を増します。
例えば、誰々さんは、何々の資格を持っているから、信頼できるとか、誰々さんは、何々の仕事をしているから、すごいとかです。
何々をしていれば、勝ち組とかいう考えも同じで、外の評価に自分を照らし合わせて、満足したり、落胆したりするわけです。
自分磨きのモチベーションの多くは、“他人の自分に対する評価をあげること”だったりします。
「資格を取って、社会で認められたい」とか、「有名になって、誰かを見返したい」という願望は、他人が自分を評価して欲しいという思いからくるもので、自分の外に自分の存在意義を求めている状態といえます。
自分のいる環境や社会の状況が変われば、自分の価値を他人の評価に見出そうとするモチベーションも、他人にとって価値がある対象も変わるので、今の評価の基準は意味がないものとなったりします。
だから、何かを学んでスキルアップしようという自己啓発は、モチベーションが“他人の自分に対する評価をあげること”であると続けなかったりします。
他人に評価されなくて悩む
私たちは、人間関係において、自分が評価されないことで悩みます。
仕事においても、友人関係においても、家族間においても、評価されないといたたまれない気持ちになったりします。
そして、他者を非難したり、人に認めてもらおうと説得を試みたり、見返してやろうと頑張ったりするのです。
「仕事場の上司がわかってくれない」とか、「妻が」、「旦那が」、「姑が」とか、特定の人に対して神経を注ぐようになります。
そうなると、ある特定の人との関係に意識が囚われた状態になり、そこから抜け出すのが難しくなります。
気づかない限り、限られた関係の中で、悪循環を繰り返すことになります。
特定の相手が自分に対して評価を変えるか、自分がその人と関わるのをやめるかという選択に迫られ、会社だったら退職、家庭だったら離婚ということになったりします。
どうしようもない時は、自分の環境を変えるために、そういう選択も必要でしょう。
しかし、根底にある“他人に評価されたい”という願望が強ければ、どこに行っても、“他人に評価されない”ことに悩む状況を繰り返すでしょう。
プライドが高い、いつも優等生である、人に教えるのが好き、また、嫉妬深い、という人たちは、他人に評価されたい願望が強く、自分を評価しない人を寛容できない傾向があるようです。
また、自分に対して悲観的である人は、無意識で自分はいつも他人に評価されないと思っており、そういう状況を自分で引き寄せていたりします。
相手の評価を気にすることなく、自分のやるべきことをして生きていけたらどんなに楽でしょうか。
評価されることから解放されるには
先ずは、何をやるにも他人に評価を求めないことです。
認められたいと思う事をやめて、自分の為にやることです。
そして、やったことが評価されないことを恐れないこと。
評価されなくても、自分の為に自分の責任でやったことだと認めましょう。
感謝されなくても、やったことを認識されていなくても、落胆したり、怒ったりしないこと。
そして、自分のやる事に対して、誰かに見返りを求めないこと。
ボランティアでも、人の為ではなく、自分の為にやる事。
誰が見ていなくても、同じようにやれることをやること。
人の見ているところでやるのは、人の評価が欲しい為です。
他人の評価に、自分の価値を投影する癖を断ち切る必要があります。
他人に認められたいと思うのは、自分の外にあって変え難いものを変えようともがいている状態とも言えます。
認められないと嘆くのは、問題の根源でなく、影響、すなわち、他人が自分を認めないということに目を向けている状態にあります。
スクリーンに映し出された映像を変えようと、映像を映し出している映写機には目も向けずに、スクリーンの映像を何とかしようとしているようなものです。
問題の根源は自分の内にあります。
あなたが、他人に認められることに固執するのをやめなければ、問題は解決しないでしょう。
他人に認められることから解放されると、楽になります。
あなたの価値基準は人の評価によるものでなくなるので、自分らしく生きることができるようになります。
自分にとって、本当に価値があるものが何かが見えてきます。
そうすると、誰があなたをどう見ようと、恐れることも、憤慨することもなく、あなた自身でいることができるので、常に冷静でいられます。
評価されることに対する執着がないので、評価されなかった場合の結果に対する恐れもありません。
人があなたをどう思おうと動じなくなるので、あなたが誰かにコントロールされることもなくなります。
あなたは誰の評価にも依存しなので、人間関係もうまくまわりはじめます。