記憶を消せれば全てはうまく行く



あなたは、「過去の思い出をいっそのこと忘れてしまえたらいいのに」とか、「ある特定の記憶だけ消してしまえたらいいのに」と思ったことはありませんか?

もし、あなたが「記憶を消すこと」ができれば、悩み、不安、憎しみ、恐怖から確実に解放されることができます。

わたしたちは過去の記憶によって、人やものごとを判断していますので、記憶が無くなれば判断することもなくなるというわけです。

例えば、幼い子供を見ていればわかるように、私たちは記憶が無いものに対しては、後先考えずに行動ができます。

幼い子供は、好奇心旺盛で、大人たちが危ないと認識することも、放っておくと、どんどんやります。危ないことに対して過去の記憶が無いので、それが危ないかどうかも分からないのです。恐れが無いのです。

同じように、大人でも過去の記憶が無ければ、ある対象にネガティブな感情を持つことはありません。今まで憎んでいる人がいても、その人の記憶が無くなれば、憎しみの感情は生まれません。

記憶が感情をうむ

あなたの記憶が、あなたが今目の前にしていることや、考えることに対して感情を生み出します。

記憶と感情のループにハマってしまうと、悪循環が起こり、そこから抜け出すのは困難となります。

例えば、あなたが、ある人に嫌悪感を抱くのは、あなたのその人に対する過去の嫌な記憶があるからです。過去の記憶を祓うことができなければ、すなわち、過去の記憶に囚われ続けるならば、あなたは、その人を見たり、その人のことを考えたりするたびに嫌な気持ちになるループから抜け出さないのです。

その人に対する記憶をリセットできれば、その人に嫌悪感を抱くことはありません。険悪な夫婦関係も無かったものになるでしょう。裏切られたとか、あんなことされたとか、自分はいろいろしてあげたのに見返りは無かったとか、許せないと思っているなら、それも無かったことになるでしょう。もしかしたら、また、フレッシュな気持ちでやり直せるかもしれません。

ここでは、けっして記憶喪失になることをすすめているのではありません。

記憶に対する感情を変えれば全てうまく行く

記憶を消すことができなくても、今までの記憶に対するあなたの感情的反応を変化させることができれば、険悪な人間関係も改善することが可能です。

私たちの記憶なんてものはとても曖昧で、断片的にしか覚えていないものです。これは、記憶が感情に結び付いていることと関係しています。

私たちは、いい悪いのどちらにせよ、強い感情に結びついたことは覚えているもので、そうでないことは覚えていないものです。

いわば、感情によって助長されたものや、ショックを受けたもの、そして、都合のいいものだけ記憶しているのです。しかも、断片的に。

あなたの記憶とは、そんな感情に大きく左右されている適当なものなのです。ですから、特定の記憶に悩まされている場合、記憶に結び付いた感情に対処すれば、楽になることができるでしょう。

記憶と感情のリンクを客観視する

記憶を消すことはできなくても、自分自身の記憶と感情の結びつきを客観的に俯瞰して、そこから解放される意識を持つことは可能です。

あなたが現状を変えたければ、先ずは、あなたの記憶が今のあなたの感情を誘発させ、それにより、あなたの反応と行動が決まるというメカニズムを理解してください.

言い換えると、記憶があなたの行動を支配しているのだということです。しかも、断片的で曖昧な記憶が。

何かに対して、誰かに対して、感情的反応が起こったら、一息置いて、その根源の記憶をできるだけ客観的に見つめてみましょう。

例えば、嫌な人があなたに何か言ったら、今までだったら瞬間的に反応して感情的になっていたところを、その感情があなたのどの記憶に結び付いているのかを、客観的に探ってみてください。

きっと、過去にその人がした、あなたが嫌と思っている行動や言動に結び付いている筈です。

例えば、何かチャレンジを要求される状況にぶち当たって「自分には出来ない」と悲観的になったら、その思いが自分のどの記憶に関係しているか考えてみてください。

これも、過去の自分の記憶がつくり出している「できない自分像」に結び付いているでしょう。

記憶にもとづいたあなたの感情が、今のあなたの行動を制限しているということに気づけば、その後の成り行きに大きな変化をもたらすことができるはずです。

記憶に対する感情を認める

感情とそれに結び付いた記憶が明らかになったら、それを無理に払拭しようとしないでください。くさいものには蓋をするという様な対処法は逆効果です。

記憶そのものには、いいも悪いもなく、ただの記憶でしかありません。それに対する、あなたの感情が問題なのです。

悪い感情を持っているなら、その感情を認め、その感情を持つことを選んでいる自分を認めましょう。

そして、そういう悪い感情を持つに至った自分を許しましょう。

「なんで自分を許すの?」、「悪い感情を持ったのは、自分ではなく、相手のせいなのに?」と思うかもしれません。でも、今のあなたの感情は、あなたが選んだ感情だということを理解してください。

例えば、世の中でうまく行っている人たち、自ら「幸せだ」と言える人たちは、過去の記憶に対してとてもポジティブです。

普通ならば、体験したくないとか気の毒と思える過去のことも、「そういう体験があったおかげで今がある」、「あの体験をしてよかった」という様に、ポジティブに捉えていることがほとんどです。

そういう風に捉えられない人は、過去の不幸の記憶に囚われて、前に進めずにいるものです。

だから、そういうネガティブな感情を持っている自分を許して、ついでに、その悪い感情と結びついた記憶のもとになった体験に感謝しましょう。うまく行っている人たちの様に「あの時の体験のおかげで」と言っているイメージで。そうすれば、状況が自ずと変わってきます。

おわりに

そもそも人は記憶を失うのが怖いのです。私たちは過去の記憶を構築することでアイデンティティーを形成します。自分のイメージを積み上げられた記憶によってつくっています。記憶が知識と言う資産にさえなります。そうして、積み上げられた過去の記憶にしがみついて生きるのです。

成功している記憶なら気持ちいいでしょう。そうでない散々な記憶でも、長年積み上げられたものに人はしがみついてしまう習性があります。

いつまでも心に留めておきたい大切な記憶もあるでしょう。自分が生きる為のノウハウとなっている記憶もあるでしょう。これらも、時代が変わり状況が変われば、時代の流れに沿ってあなたが進歩することを妨げる足かせとなり得ます。

まとめ
  • あなたは記憶に支配されている
  • 記憶があなたの可能性を制限し得る
  • あなたの感情は記憶に結び付いている
  • 問題は記憶ではなく、あなたの感情
  • 記憶にどういう感情を持つかはあなた次第